青春の夢に乾杯
高柳 馨 (弁護士)
明けましておめでとうございます。
私の趣味は将棋です。というと、強いかどうかと聞かれますが、趣味というのは好きかどうか、楽しいかどうかであって、勝負にこだわってはつまりません。

たっぷり時間をかけて次の一手を考えてバシッと駒音高く指す、これぞ日本文化です。 2か月に1回、弁護士会の将棋愛好家の皆さん10人前後で、プロの飯塚祐紀6段に指導してもらっております。 プロ相手に1時間考えて渾身の一手を指す、それがとんでもない悪手で大笑いということもありますし、妙手ということもある。 どきどきしながら考えるところがおもしろいのです。 棋歴は長く4段の免状(事務所の目立つところに飾っております)をもらいましたが、ベテラン受験生のように、山ほど将棋の本を持ちながらどれも「あぶはち取らず」、合格にはほど遠い現状です。 プロは天才中の天才です。 プロの4段になれるのは全国で年間4人。はるか高峰にそびえ立つプロ、その一角にアマの瀬川晶司さんが61年ぶりに食い込みました。 「26歳で4段に昇段できなければ退会」という厳しい奨励会の年齢制限のため、青春の全てをかけたプロの道を断念。 その後、大学の2部に進学し、サラリーマンになった後に将棋の情熱が復活、アマが参加できる公式戦でプロを連破、自ら嘆願書を将棋連盟に提出、連盟はプロ試験を創設、試験は3勝2敗で合格。 順位戦に参加できないフリークラスでの出発ですので、サラリーマン時代の収入より少なくなる可能性もあるとのことですが、青春の夢を36歳で実現した瀬川さんに大きな拍手を送りたいと思います。