私の趣味は将棋です
高柳 馨 (弁護士)
将棋をプロ棋士に教えてもらうようになって20年以上が経ちました。日本将棋連盟から5段の免状をいただいてから13年になりました。
ずっと将棋を教えていただいている飯塚祐紀7段(51歳)は、人柄も将棋の技量も素晴らしい先生で、プロ将棋界の中で中堅として活躍されています。
将棋界は、藤井聡太さん(18歳)が叡王(えいおう)と王位の2冠となり、他のタイトル保持者は全員が20~30代、無敵を誇った羽生善治さん(50歳)も無冠となりました(この稿を書いているときには竜王に挑戦中)。
年を重ねると、どんなに強かったプロ棋士も、若手強豪になかなか勝てなくなります。私も65歳を過ぎ、将棋の腕前は「ますます円熟し」となれば良いのですが、年齢の円熟と比例して昔から多かったポカが益々多くなり、つまらない将棋を指して負けてしまうことが多くなりましたので、ほとんど人とは指さなくなりました。
そこで、最近の対戦相手はもっぱら人工知能(AI)、それも「ぐっと」レベルを落として対局してもらっています。 AIでも勝てば結構楽しいのですが、AIはすごい能力がありますので、これでは宝の持ち腐れです。
平成29年5月、当時の佐藤天彦名人がAIに負けてから、人間はAIに勝てなくなり、今や、プロ棋士がAIからその指し手を学んでいると言われています。そこで、私も、レベルを落としたAIに勝って溜飲を下げるというつまらない使い方をやめて、プロの最前線の対局(NHK杯)をAIを使って研究するという勉強を始めました(まだ始めたばかりです)。
週1回(日曜日放送)のNHK杯戦を録画し、プロ棋士の解説とAIの解析結果を指し手と共に将棋ソフトに記録し、戦法別にまとめていくのです。
今まで半分居眠りをして見ていたNHK杯戦が、こうするだけで、放送の際のプロ棋士の解説が分かり、最善手やプロ棋士の指し手のミス(詰みを逃すなど)もAIに教えてもらい、指し手の記録が終わったときには、急に将棋が強くなった気になり、私のぼーっとしていた頭脳が活性化します。
これを続けていけば、私には認知症は無縁だなどと思うようになりました。
さて、今や、日本では65歳以上の人口が全体の28.7%になり、100歳以上の人口が8万人を超えるまでになりました。
私を含むこの老人層の皆さんが、認知症になることなく、元気に活躍することが、これからの日本にとり最重要の課題でしょう。将棋だけでも、AIを積極的に活用すれば、頭脳の活性化につながります。
他のさまざまな分野でもこのようなAIの積極的活用が進んでいくことにより、元気な老人が増えて、長寿「幸」齢化社会が実現するかもしれません。