最近の法科大学院生
菊池 博愛 (弁護士)
毎年8月か9月に法科大学院生が研修で私のところにやってきます。エクスターンシップと呼ばれているものです。これは私が卒業した大学に創設された法科大学院からの依頼で毎年引き受けているのですが,法科大学院生と話していると新鮮でとても楽しいことが多いです。
私はエクスターンシップの学生を引き受けているときは,なるべくいろいろな場面を見せようと張り切って連れ回します。さすがに警察署での接見まで一緒に行うことはできませんが,本来非公開の手続きにも裁判官や相手方当事者の承諾を得て同席させてもらったこともあります。境界紛争の現場を一緒に見に行ったり,横浜地方裁判所の法廷を借りて裁判員裁判の弁論の練習をした際に裁判員の席に座ってもらい私の弁論の悪いところを指摘してもらったりしたこともありました。
電車での移動時間中もクイズと称して,これまで行ったことのある業務を題材にこのようなときはどうすればよいかなどと出題し,法科大学院生が答えられないときには宿題にしたりします(宿題をするのは嫌いですが,宿題を出すときは楽しいですね)。
昨年引き受けた法科大学院生にもいくつかクイズを出題したのですが,昨年の法科大学院生は私が想定していた正解を超えるような答えが即座になされてしまうこともあり,ひょっとしたら弁護士10年目に突入した私よりも知識があるのではないかと思いました。
法科大学院の制度について優秀な学生が少ないなどといった批判もあるところですが,一生懸命勉強している優秀な学生もいることを改めて認識させられました。
せっかく司法試験に合格しても法曹人口の増加に伴い就職すらままならないという状況ですが,このように頑張っている法科大学院生はきっと司法試験やその先の就職活動など問題にはならないでしょう。もっと先の将来を見据えて成長していってもらいたいものです。