支部の活動について
種村 求 (弁護士)
「弁護士は,基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命とする。」(弁護士法1条1項),「弁護士は,前項の使命に基き,誠実にその職務を行い,社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。」(同条2項)とされていることを受けて,横浜弁護士会会則3条には,「本会は,弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ,その品位を保持し,弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため,所属する弁護士及び弁護士法人の指導,連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。」と規定されています。
そして,弁護士会の活動は何も横浜の本部のみに限定されるものではなく,「本会は,横浜地方裁判所の支部の管轄区域に対応して,本会の支部を設けることができる。」(同4条の2第1項),「本会の支部は,性質上支部において処理することが相当と認められる事務及び本会から委託された事務を取り扱う。」(同第2項),「本会の支部は,横浜地方裁判所の支部の管轄区域内に法律事務所を有する弁護士及び弁護士法人をもって組織する。」(同第3項)とされています。
川崎支部会員である私自身は,支部の活動は,本会における委員会活動と同じかそれ以上に重要なものだと考えています。
しかし,「委員会は本会の組織の要であり,委員会活動は本会の活動の基盤であって,委員会活動の活性化は,適正かつ迅速な会内合意の形成のため,また,本会及び本会員に対する社会の信頼を確保していくためにも,必要不可欠である。」(横浜弁護士会委員会通則前文)と規定されるなど委員会の重要性が認識されているのに比べれば,支部の活動がどれだけ本部の会員や神奈川県民の皆様に認知されているかという点は正直心許ないところがあります。神奈川県内に法律事務所を有する全弁護士が加入する強制団体の名称が「神奈川(県)弁護士会」といったものではなく,いまだに「横浜弁護士会」であることもそれを裏付けるものといえるかもしれません。
とはいえ,神奈川県内の四支部(川崎・小田原・相模原・横須賀)はいずれも広い管轄区域を有していることもあって膨大な管内人口を抱えており,またほぼ横ばいで推移している横須賀支部を除けば弁護士数(支部会員数)は激増しており,支部管内の事項については支部会員で担っていくことが可能な状況が構築されつつあります。
とりわけ,当川崎支部は137名(平成22年11月1日現在)と,私が弁護士登録した平成17年10月の70名から約5年でほぼ倍増し,横浜弁護士会会員数の1割強を占めております。
当支部においては,横浜地家裁川崎支部・横浜地検川崎支部との間で定期的に懇談会を実施しているほか,市民法律講座の開催や区役所相談の実施等市民サービスの充実を図り,また支部会員間・他支部(神奈川県外の支部との交流を含む。)・他士業との交流を深めるなど多様な活動を行っております。
また,当支部の有志により,定期的に横浜地家裁川崎支部との間で破産・再生や成年後見・相続財産管理人等の事件に関して意見交換会を実施されており,その意見交換会には多数の支部会員が参加していることから,これらの事件について当支部会員で担っていくことのできる体制が構築されています。
当支部執行部は現在,支部長・2名の副支部長・4名の幹事により構成され,これら種々の活動が円滑にいくよう下支えをするとともに,支部内で生じる様々な問題に対処しております。そして,私も,末端幹事として,微力ながら協力させていただいております(任期は本年3月まで)。
弁護士としての日常業務をこなしながら支部執行部としての業務を行うことは確かに大変ではありますが,非常にやりがいを感じます。本部・支部を含めた弁護士会の仕組みへの理解も深まり,またこれまであまり交流のなかった本部・他支部の会員とも親しくさせていただくこともでき,私自身成長させていただいたと感じております。