感染症診査協議会委員になって
菊池 博愛 (弁護士)
今年の4月から川崎市感染症診査協議会の委員になりました。 これは何をする協議会なのかと言いますと,コレラやペスト,結核などの感染症に感染した患者に対し,川崎市が就業制限に係る通知,入院の勧告,医療費の公費負担などを行うに際して,市長の諮問に応じて必要な事項を審議するという協議会です。 私が関わっているのは,川崎市北部地域(中原区,高津区,宮前区,多摩区,麻生区)でしかも感染症の中でも結核に限定した部会です。 協議会のメンバーの大部分は医師なのですが,入院の勧告という人権問題も含むため,弁護士などの法律に関し学識経験を有する者が委員になることが求められています(私のような者が「法律に関し学識経験を有する者」なのかどうかはよくわかりません。。。)。
協議会の内容はほとんどが医学的なものであり,レントゲンやCTの画像を見たり,どの薬がよいのかなどの議論がなされます。 私には医学的な知識がほとんどありませんからなかなか話に参加できずただその場にいるだけの存在になってしまいがちです(レントゲンを見て医師の説明を聞いてもどれが肺の陰なのかがわからなかったりします。)。
私にとっては畑違いのような気もするのですが,入院の勧告についての諮問があるときには出番があります。 その患者が結核を感染させてしまう危険性のあるような同居の家族がいるのか,仕事の内容は他人との接触が多いのか,などその患者に対して行政が入院を勧告するだけの要件が備わっているかどうか法律家としての視点から検討します。
今のところ,患者が強硬に入院に抵抗しているというような事案には遭遇しておりませんが,そのような事態が発生したときのために委員に選任されているのだと思います。 ただ,現段階ではまずは議論について行けるように医学的なことについても学んでいきたいと思っています(薬の名前も少しずつ覚えてきました。PZAは高齢者には使えないとか。)。
また,この協議会は医師との人的なつながりを作ることができる貴重な機会ですので2年の任期をしっかり全うしたいと思っています。