性別による差別等の人権相談
本田 正男 (弁護士)
本年4月より,横浜市の男女共同参画推進条例に基づく相談申出制度に参加させていただくことになりました。 当事務所は,川崎に所在する事務所ですので,事務所報で横浜市の制度等に触れることは異例ですが,実際に参加してみて,非常に有益な活動が行われていると感じられるのに比較して,一般には余り知られていない制度ように思われ,多少の公報宣伝も兼ねて今回書かせていただこうと思いました。
この人権相談は,横浜市から委託を受けた財団法人横浜市男女共同参画推進協会が,横浜市の男女共同参画推進条例に基づく相談申出制度として行っているもので,性別による差別等男女の人権問題を対象とした相談制度です。 横浜弁護士会の弁護士3名を含む5名の専門相談員が戸塚にあります女性フォーラムに集まって毎月1回定例の会合を開催し,その間に相談のあった男女の問題に関わる個別の人権相談について,その対処を検討確認すると共に,上記制度に基づき正式に申出のあった案件については,担当の専門相談員とスタッフを決め,実際に当事者に話を聞き,適切な対処法や改善法を具体的に検討することになっており,最終的には,横浜市長の名前で,一定の指導を行っています。 この間私も専門相談員の1人として,毎月の相談や申出に向き合ってきましたが,相談内容は,いわゆる女性の権利全般に及び,中でも,私自身弁護士してはこれまでそれほど多く受任することのなかったセクハラの相談の比重が高く,また,深刻な事案が多いことに今更ながら驚いているところです。 人権問題に関する申出に対処する制度としては,弁護士会には,人権擁護委員会があり,上記制度同様個別事案の人権救済にあたっているところですが,上記制度は男女の人権に特化した制度として,弁護士会の人権擁護活動とも相互補完的な意義をもち,また,個別事案の具体的な救済を目的として活動している点で,各地の男女共同参画事業の中でも特筆すべき制度だといえましょう。