弁護士生活20年を迎えて

菊池 博愛 (弁護士)

 私が弁護士登録をしたのは2001年10月ですので2021年10月に弁護士生活20年となりました。本来は2021年8月に司法研修所卒業20周年の記念行事が京都で行われるはずだったのですが,新型コロナウィルスの影響により延期となってしまいました。久しぶりに同期の仲間に会うことができる貴重な機会だったのですが残念でした。新型コロナウィルスが収束すればまた機会があると思いますのでそれを楽しみにしたいと思います。

 ところで,私が弁護士登録した2001年の出来事を調べてみますと1月にアメリカではブッシュ(ジュニア)がクリントンの後を継いでアメリカ大統領に就任し,4月にはイチローがメジャーデビューし,同月小泉純一郎首相が誕生し,9月には東京ディズニーシーがオープンし,その1週間後にはニューヨークを中心に同時多発テロが起きたという年だそうです。出来事の一つ一つは覚えているのですが全てが2001年の出来事だと言われると今ひとつピンとこないというのが正直な感想です。
 既に21世紀に入り20年が過ぎたということになりますが,現段階において21世紀というのは災害の多い世紀だと感じています。大きな地震の発生頻度が世界的に増えているというデータもあるようです。最近の真夏の暑さは異常だと思っておりましたが,毎年のように連日30℃台後半の気温を計測するため,異常が異常でなくなってきているように感じます。雨の降り方も激しくなっており「数十年に一度の大雨です。」というニュースのアナウンスを毎年聞いているように思います。こうしてみると研究者たちが指摘しているように地球の環境は激しく変化しているのでしょう。

 私がまだ弁護士になる前の司法修習生だったころ,つまり20世紀終わりのころ,「世紀末」とかミレニアムといった言葉をよく耳にしました。「世紀末」とは通常一つの世紀の終わりを意味するのだと思いますが,世の終わりを意味する場合もあるとのことです。世紀末に後者の意味があるのは,とある書物が1999年に世界が滅びると主張していたことが原因であるとする説もあるそうです。幸いにして1999年に世界が滅びることはなかったわけですが,昨今の気候変動や世界の情勢を見ていますと後者の意味での世紀末が遠い将来のことであると安心していることはできないような気もしてきます。
 新年から何だか怖い話になってしまいました。
 世の中がどのような方向に向かっているのか私などには全くわかりませんが,この世界が私たちの世代で終わりなどということにならないようこの年も地に足をつけて生活していきたいと思います。