弁護士会川崎支部の活動について
本田 正男 (弁護士)
_ 支部幹事としての半年間を振り返って
今年度は私にとって弁護士になって10年目といういわば1つの節目の年でしたが,一方で,今年度もまた,新しく始めたことがいくつかありました。 前回事務所報に書かせていただいた横浜市の専門相談員となったこともその1つですし,平成17年度の関東学院や,平成18年度のフェリス女学院に続き,夏に横浜国大のロースクールで講義を担当させていただいたこと,秋に司法修習生の指導担当となったことなどはいずれも今年度始めて体験することでした。 そんな始めて経験したことの中から,今回は,弁護士会川崎支部の支部幹事として,この半年間程の間に経験したことから感じたところを書かせていただこうと思います。
私の登録している横浜弁護士会(神奈川県全体を活動エリアとしてカバーする弁護士会ですが,名称は,県庁所在地の名称から採る裁判所のやり方を真似たために「横浜」弁護士会となっていて,事情を知らない方には横浜市の弁護士会と誤解されやすい,紛らわしい名前になっています 。)には,この原稿を書いている平成19年(2007年)11月現在934名の弁護士が登録していますが,このうち,横浜弁護士会本部には,692名,川崎支部には93名の弁護士が登録しています。 私の弁護士登録は上記のように10年前になりますが,その頃川崎支部の登録者数は,もちろん,今よりもずっと少なく,たとえば,私の4年後に弁護士登録した同じ事務所の菊池弁護士が川崎支部に登録した今から6年前の時点でもまだ50名には届いていませんでした。 それがいわゆる司法改革のもたらしたここ数年の弁護士数の増大(激増という表現の方がぴったりとする気がしますね。)に伴って,川崎支部の弁護士数も半年に10名位の割合で増加する傾向がこの数年続いており,この事務所報がお手元に届く平成20年(2008年)1月には,いわゆる新60期の新人弁護士の登録の結果川崎支部の弁護士登録数は100名を超えることが確実な状況となっています。
そして,この100名程の弁護士で構成される弁護士会支部の活動を現在支部長以下3名の幹事弁護士が中心となって担っており,末端幹事の私は,主として支部の会計事務を担当しています。 もちろん,私自身これまでも川崎支部の中で弁護士として活動を行なってきましたし,歴代の支部幹事の先生方のお手伝いをさせていただく機会も度々ありましたので,弁護士会支部の活動についてまったく不案内ということはありませんでしたが,やはり,実際に支部幹事として,弁護士会の外の諸団体等との接点になってみると,今の弁護士会や弁護士,そして,川崎支部の置かれている立場が一層明瞭に感じられるようになりました。
たとえば,例年行なわれている行事を思いつくままに書いても,行政や他士業との交流,裁判所や検察庁など法曹三者間での意見交換会や懇親会の実施,市民向けに行なわれる法律問題の解説講義「市民法律講座」の開催など弁護士会と外部の組織や市民と接する数多くの機会があり,井の中に留まることを許されない今の弁護士会の立ち位置を思い知らされました。 特に,本年度は,8月の臨時支部総会において,裁判員裁判と労働審判を裁判所の川崎支部においても行なうように求める決議を行ない(どちらも,司法改革がもたらした重要な裁判手続の改正なのに,裁判所川崎支部においては,いずれも実施の見通しがないのです。),決議の結果を裁判所や関係各所にお知らせするなどしたことから,(従来から頭では分っていたことではあるのですが,)たとえば,決議を執行するにも,話合いの機会をもつにも,弁護士会の本部を通さなければならないという支部の位置付けを否が応でも認識させられた次第です。
川崎支部の幹事は従来2年毎に交代してきましたので,通例ですと,まだ1年以上の任期があることになります。 従来からの活動を引き継ぎつつ,さらに,新しいことを付け加えるのには,支部決議1つとっても随分と手間暇のかかることがこの間の経験を通じてよく分りましたが,上記のように人数も増え,それにしたがって弁護士会支部全体が力をつけていることから,その潜在的な活力を引き出し,活動を一層拡張充実して行きたいと思っています。
注: 私自身「横浜市弁護士会」の所属と紹介されたことが幾度となくありますが,本年度は弁護士会会長の就任をお祝いする市民の用意した垂れ幕の中に「祝 横浜市弁護士会会長 就任」と書かれていたそうです。