家事調停官を終えて

菊池 博愛 (弁護士)

 私は、平成21年10月から横浜家庭裁判所の家事調停官を務めておりましたが、平成25年9月に無事4年間の任務を終えることができました。

 家事調停官は非常勤の裁判官という位置づけで、常勤の裁判官と同じ権限で家庭裁判所で行われる家事調停を主宰するのが主な仕事です。

 家事調停は通常2名の調停委員によって進められ、裁判官は評議(調停委員と調停官の話し合い)が必要な時だけ参加するようなケースが多いと思うのですが、私はなるべく積極的に調停に参加するようにしておりました。ひょっとしたら調停委員の邪魔になっていたかもしれません。私の調停運営には危なっかしいこともたくさんあったと思いますが、優秀なスタッフの支えもあり、何とか勤め上げることができました。

 調停に参加していない時間は裁判官室で記録を読んだり、書類の決裁をするなどの執務をしておりましたので、同じ部屋で仕事をしている常勤の裁判官と雑談する機会もたくさんありました。また、裁判官以外のスタッフである書記官、調査官、事務官、調停委員とも親しく接することができ、大変有意義な4年間を過ごすことができました。

 この4年間で家庭裁判所の手続きを詳しく学ぶことができましたし、裁判官の思考方法も身をもって体験することができました。裁判所の立場で弁護士の代理人としての活動を客観的に見るということも経験し、どのような活動をすると裁判所に好感が持たれ、また評価を落とすのか、なども何となく理解できました。

 家庭裁判所で学んだことをこれからの弁護士生活にどのように生かしていくか、というのが目下の課題です。今後ともどうぞよろしくお願いします。