初めての少年事件を終えて
引田 大地 (弁護士)
川崎総合法律事務所の引田大地と申します。私は2016年の1月で丁度弁護士となって1年を迎えます。タイトルにある少年事件の付添人を担当したのは1年のうちこの1回だけでした。
初めての少年事件であり、成人の刑事事件とも異なるので、何もわからない状態で事件に着手し、本を片手に児童相談所に通い続けることから始まりました。
事件の内容としては決して軽いものではなかったので、知り合いの元裁判官の弁護士に守秘義務に反しないように見込みを聞いたところ、観護措置で鑑別所行きは間違いないと言われてしまいました。
少年は年齢が低く、非行の原因に鑑みても、鑑別所に入ることは絶対に少年のためにはならないと考え、阻止しなくてはならないと思いました。そこで、児童相談所に行き、児童心理司と話をして非行の原因を分析し、親に協力をしてもらい有利な事実の疎明資料を集め、即座に担当の裁判官に面談を申し出て、観護措置をとるべきでない旨の意見書を提出しました。
しかし、担当裁判官の結論は面談の開始時から決まっていたという印象で、面談の甲斐もなく予想どおり鑑別所行きの観護措置がとられてしまいました。少年の両親にも、鑑別所に送致された少年自身にもダメ元で異議申立を行うが、2週間は鑑別所だと思うと伝えました。
ただ、諦めても仕方ないので、参考書には異議申立をすべきと書いてあるし(書いてあるからするわけではありませんが)、私自身ダメ元で、異議申立書を提出しました。
すると、思わぬ結果となりました。異議申立が認められ、当初の観護措置決定が取り消され、少年が釈放となったのです。
その報告を裁判所から受け、少年の親に連絡するときの嬉しさ、連絡したときの反応、また鑑別所に迎えにいったときの少年の反応が未だに忘れられません。
また今年も、弁護士業にこういったやり甲斐を感じながら1年間精進して参りたいと思います。