共有不動産の固定資産税・都市計画税の支払について
弁護士 高柳 馨
最近、某県の某駅前に共有不動産を所有しているAさんから相談を受けました。
その不動産の共有者はAさんとBさんの2人ですが、共有となった経緯が複雑で、AさんとBさんの間にスムーズな人間関係はありません。また、固定資産税・都市計画税(以下「固定資産税等」といいます)の金額はかなりの金額になります。
Aさんは、この10年近く、地方自治体からの請求に応じて、固定資産税等を支払ってきましたが、最近になって、Aさんが支払ってきた分の中にBさんが支払うべき固定資産税等も含まれていたことを知ったというのです。
Aさんは、ちょっと高いなと思いつつも、公的機関からの請求だから、間違いはないと考えて、自分の固定資産税等と思って支払いを続けてきたのでした。
相談の趣旨の第1は、今後、Aさんに対する地方自治体の請求を、Aさんの不動産持分のみにしてもらうようにできないのかということでした。そこで私は、Aさんと一緒にその地方自治体の固定資産税課に行き、相談してみました。
担当者曰く、地方税法10条の2第2項により共有物に関する税金は共有者が連帯納付義務を負うと規定されているから、AさんとBさんのそれぞれに請求することはできないとのことで、この要望は簡単に断られました。
それならば、今後はAさんではなく、Bさんの方に請求書を出してもらいたいとも話しましたが、Bさんの同意書を出してもらえたらそのようにするとの話でした。しかし、Bさんがそんな話に応じるわけはありません。
そもそも、その地方自治体は上記地方税法の規定に基づき、Aさんの同意なくしてAさんに対し、Bさんの共有持分の固定資産税等を含む納税を一方的に請求し続けてきたのです。
そして、人の好いAさんは、Bさんの固定資産税等が含まれていることととも知らずに、支払いを続けてきたのです。
相談の趣旨の第2は、Aさんがこれまで10年近く支払ってきたBさんの固定資産税等を、Bさんに支払ってもらえないかということでした。
しかし、Bさんに請求するためには、Aさんが支払ってきた税金のうち、Bさんが支払うべき税金の額を計算しなければなりません。この計算はそんなに単純なものではありません。そしてその資料集めも約10年分となると大変でした。そして資料を集めて、細かい計算をして、Bさんに請求書を出してみました。
しかしBさんからの返事は、これまでBさんが支払うべき固定資産税等はBさんが全額支払済みであるから、支払義務はないとのことでした。
この話をAさんにしたところ、Aさんは、今までもBさんの固定資産税等を支払ってきたうえに、今後もそれを支払い続けなければいけないのでしょうかと、がっくり肩を落としていました。
そこで、Aさんと相談のうえ、Bさんに対して訴訟を起こすこととしましたが、Aさんは、訴訟費用(印紙代、切手代)や私の弁護士費用を負担しなければなりません。
これもそんなに安い金額ではありません(他の弁護士よりはぐっと安いと思いますが?)。
そこまでやらないと、AさんはBさんに対して、Bさんが支払うべき固定資産税等の返還を求めることができないのです。
以上のとおり、共有不動産をお持ちの方は、他の共有者の支払うべき固定資産税等を負担させられているおそれがあり、その返還を求めるのも簡単ではありません。
このような状況の元凶は、上記の地方税法であり、納税者側からみると、早急に、改正を求めたいところです。

