人権擁護委員会の活動について
本田 正男 (弁護士)
本年度改選された横浜弁護士会人権擁護委員会で委員長職の命を受けました。
弁護士会の人権救済活動については対外的な活動である割に正直あまり知られていない様に感じられますし、最近では、会員でも知らない方がいるように思いますので、この機会に少し宣伝説明させてください。
弁護士法1条1項は、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」と規定しています。これを受け、他の弁護士会や日弁連と同様当会においても、弁護士会として、人権侵犯事件に対する調査・措置を行う制度を設けており、現状年間40件程ある人権救済申立に対処しています(申立の多くは例年横浜刑務所内における人権侵害行為を問題にするものですが、その他にも刑事事件手続きや、学校や福祉施設におけるいじめ虐待、マスコミの報道など各種の人権侵害行為について申立てがあります。)。現在人権擁護委員会には、60名を超える会員が委員として所属していますので、委員を1チーム3名から4名で17のチーム(事件委員会)に分け、その事件委員会にこれは調べてみようとなった申立事件を順番に割り振って調査を実施しています。各事件委員会は、申立人本人からの聞き取りに加え、必要に応じて加害者とされる相手方からの事実関係に関する聞き取り等の対向的な調査を行い、その結果を踏まえて、月に1度開催される人権擁護委員会の全体会において、人権侵害性の有無や程度について議論を尽くし、「これは人権侵害である」と結論されますと、さらに、常議員会という弁護士会の意思決定機関における議決を経て、弁護士会として警告、勧告といった意見表明とその執行を行います。弁護士会のホームページには、2006年度以降の人権救済勧告等の一覧も掲載されていますので、よろしければご参照下さい。
ホームページアドレス
http://www.yokoben.or.jp/profile/gaiyou/torikumi/jinken/kankoku/index.html
上記のように、弁護士会の人権救済活動は、弁護士法の規定する基本的人権の擁護を実現する弁護士会にとって本質的で大切な任務ですし、そのような活動に携われていることで、私自身無意識に弁護士という職業に誇りを持てているように思います。ただ一方、上記のような活動は、実際には個々の弁護士のまったくのボランティアによって支えられていますから、本来会員間で広く公平に負担すべきもので、一部の会員に過重な負担となる様なことがあってはいけないと思っています。その意味で、委員長として、この様な意義ある活動を会の内外により広く知らしめると同時に、会内における会務負担の公平感の維持や改善を図っていかなければならないと思っています。