コロナ禍のオンライン会議
本田 正男 (弁護士)
コロナ禍の中、また新しい年を迎えました。コロナは、弁護士の業務にも大きな影響を及ぼしましたが、さしあたり、目に見える形で、ぼくの生活に起こった変化は、Zoomなどを利用したオンラインの形で日常的に会議が開かれるようになったことです。
もちろん、人にもよりますが、みなさん仕事に家庭にと終日お忙しい方が多いので、ぼくなどは、仕事でも以前から、夜少し遅くなってから落ち着いた時間にLINEやFacetimeなどのアプリを使って打ち合わせをすることが比較的多かったように思いますし、また、日中開催される弁護士会の委員会などでも、Skypeなどのアプリを利用した会議を部分的ながら積極的に行なっていました。
しかし、昨年は、裁判のIT化が開始され、そのために、Teamsというアプリを用いて裁判所と現実に裁判上のやり取りをするようになったことに加え、コロナ禍の影響で、とにかく、社会全体で人との接触を少しでも減らそうという強い要請が働いた結果、個人の業務だけでなく、弁護士会でも、行政などの会議でも、プライベイトな会合まで、オンラインでの集まりが飛躍的に拡大しました(何十年ぶりかに大学の同窓会ができたのは、とても嬉しかったことの一つです)。
これまであまりIT機器に馴染めない、好まない印象のあったような方まで普通にタブレット端末を触っていたりするのを目の当たりにすると、昨年は、オンラインツールを誰もが使うようになった元年だったなぁという思いがします。
そして、Zoomなどを使ってみると、単にミーティングをするだけでなく、100人、500人といった多くの人に向けて配信をすることが非常に手軽に行えることが実感さ れ、これまで時間と労力を使って会場を用意し、また、移動時間も確保して集まり、さらに、マイクやカメラをテストして録画の出来にも気を使うといった煩わしさから一気に解放されて、講演会や研修会、シンポジウムなどを次々に企画することができるようになりました。
昨年この欄で書かせていただきました「かわさき子どもの貧困問題研究会」というグループの講演会に加えて、今年は、「公平な税制を求める市民連絡会」(https://tax-justice.com)主催の10回に及ぶ連続講演会、弁護士会内の研修や、市民グループ主催の連続講演会などで、いずれもぼくのZoomウェビナーのアカウントで配信することになり、すっかり研修会学習会づいた一年となりました。
この動きは、加速することはあっても、当分収束することはないように思いますが、新しい動きには、反動があるのも常ですし、何より、弁護士の業務は人に会って話し込むのが仕事のような側面がありますから、現実に顔を合わせる貴重な機会の意味も大切にしながら、今年もオンラインとオフラインの絶妙な均衡を求めていきたいと思います。