この一年を振り返って
米積 直樹 (弁護士)
私が弁護士登録をし,業務を開始してから早いもので一年がたとうとしています。私は修習時代を過ごした当事務所で弁護士業務を始めることが出来ましたが,まずはつい先日まで「米積さん」だったのが,「米積先生」へと呼ばれ方が変わることに戸惑いました。「先生」と呼ばれる職業は,教師や医師など限られていると思いますが,全てに共通しているのは,その職業が背負っている一種の公共性に対する信頼と敬意だと思います。私も「先生」と呼ばれる立場になった以上,その信頼にこたえられるように,自らを高めていくという責任感を常に持ち続けなければなりません。ただ,当然のことではありますが,初めて触れる実務への戸惑いも多くありました。法的な知識はそれなりには身につけていても,実務はまた別物です。弁護士の業務は幅広く,弁護修習の4か月間では当然網羅できるはずもありませんから,正直途方に暮れてしまうこともありました。そんな時に私を気遣って様々な助言をくれる先輩の弁護士達の存在がありがたかったです。経験をすぐに補うことはできないけれど,先輩達や事務局の皆さんに支えられながら,弁護士として日々成長していけたらと思います。
この一年足らずの間に,まだまだ数は少ないですが,私の弁護士としての活動により,依頼者の方が抱える法的な問題を解決することを経験出来ました。振り返って反省するべき点はありますが,何より依頼者の方の安堵した表情と,感謝の言葉は,それまでの努力が報われたという気持ちにさせてくれますし,この経験が,私の弁護士としての基礎を形作っていくものだと思います。私の弁護士人生はまだまだスタートしたばかりですが,この気持ちはいつまでも忘れずに日々の業務に臨みたいと思う今日この頃です。