痴漢冤罪事件
竹内 克己 (事務局)
私が弁護士登録をしてはやいもので半年以上がたちました。 4月からは刑事の当番弁護士の活動もはじまりました。
4月のある大雨の日,臨時の当番の依頼が入りました。 その被疑者は満員電車で痴漢に間違われて女性に逮捕されてしまったというもので,いわゆる痴漢冤罪事件でした。 一時期テレビ等では大々的に話題になり,まさか自分がそのような事件にあたるとは夢にも思いませんでした私が接見した被疑者の方は,否認をすれば長期の身柄拘束がなされるおそれがあり,会社も解雇されかねないことを知っていましたが,「やっていないものは,やっていない」という純粋な信念のもと,戦いたいということだったので弁護を引き受けることになりました。 私としては,何としても彼を勾留させてはならないと思い,逮捕当日及び翌日の勾留請求日の2日間で3度の接見を行い,十分な聞き取りをしたうえで意見書を書き,勾留裁判官との面接を行いました。 その結果,裁判官にも状況を十分に理解してもらい,勾留請求は却下され,検察官による準抗告も棄却されて,身柄拘束を阻止することができました。 結局,身柄拘束は2日間で済み,彼も直ぐに仕事復帰をすることができました。 弁護人としてはこれ以上ない良い結果となりましたが,この事件を受けて以降,満員電車恐怖症になってしまいました。
なお,最終的な処分結果は不起訴処分となりました。