弁護修習を終えて
佐藤 高宏 (司法修習生)
皆様初めまして。 3月下旬から約3ヶ月間、川崎総合法律事務所の本田正男弁護士のもとで弁護修習をしておりました、司法修習生の佐藤高宏と申します。
裁判修習を経て、弁護修習が始まったわけですが、裁判修習と弁護修習との大きな違いは、裁判修習(裁判官)では中立的立場からの判断が要求されるのに対し、弁護修習(弁護士)では一方当事者の代理人としての立場からの判断が要求されるという点にあると思います。 すなわち、弁護士の場合、裁判所には現れない水面下での活動、例えば聴取り調査等に非常に多くの時間を費やし、何もないゼロの状態から依頼人の生の声を聞き、証拠を収集し、主張を整理し、依頼人の意向に沿った法律構成を練らなければなりません。 そして、これらの過程の中で依頼人と信頼関係を構築していく必要があります。 弁護修習を通じて、この信頼関係の構築というのが弁護士にとって非常に重要であるということを再認識しました。
先日、法律相談に同行しました。 相談時間は約15分から20分程度なのですが、わずか15分程度でも「是非、本田弁護士にお願いしたい。」という相談者が後を絶ちませんでした。 本田弁護士のアドバイスは的確で、多くの事件を処理してきた豊富な経験に基づくものであり、わずか15分という相談時間であっても相談者の信頼を得ることが可能なのだと実感しました。
相談者や依頼人の信頼を得るためには、話し方や服装、立ち居振る舞いといった外見的な要素が必要な場合もあるかも知れません。 しかし、何より重要なことは相談者や依頼人がどのような悩みを抱え、どのような解決を望んでいるかを正確に把握し、そのための法的アドバイスが出来るか否かにかかわるということを学びました。
私の場合、6月中旬に弁護修習を終えたと同時に、民事裁判修習から始まった1年間の実務修習も無事終了しました。 前期修習で学んだ知識を「点」としてたとえるなら、この「点」が一連の裁判手続を学んだ裁判修習で「線」となり、さらに裁判所には現れない水面下での弁護活動を学んだ弁護修習で「面」になったと思います。
事件にかかわる利害関係人の立場によって事件の見方は様々です。「点」、「線」、「面」と来たわけですから、今後は「立体的」に様々な角度から事件を見る目を養い、依頼人の信頼を得られる弁護士を目指したいと思います。